楽校のそば屋
焼畑が育てた蕎麦を味わえる農家レストランをはじめました。
焼畑「あらきおこし」の5年目、最後の年に「蕎麦」の種を蒔きます。
ずば抜けた甘みが特徴の「階上早生」は、焼畑で育つとさらに甘みを増し、お母さんたちの手によって、殻や甘皮も一緒に引き込んだ「挽きぐるみ」の真っ黒な二八そばに仕上げられます。
焼畑でとれた作物をはじめ、地域の食材を加えた山菜の惣菜など南郷で暮らす人たちが、昔から食べてきた「健やかな力の源」を味わえます。
焼畑が育てた山の恵み。
焼畑が育てた森は、山菜やキノコの宝庫。
春、森へ出かけると数十種類の山菜や旬のキノコが見つかります。その自然の恵みを凍み豆腐や凍み大根と一緒に煮しめにしたり、和え物にしたり。南郷の郷土料理でもあり「楽校のそば屋」の自慢の味でもあります。
「すまし」の歴史
楽校のそば屋では、伝統調味料である「すまし」を使った汁と手打ちの十割そばの「すましそば」をご用意しております。「すまし」は普段ではなかなか食する機会もないと思いますし、また「すまし」自体をご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。
Q.そもそも「すまし」とは…?
A.醤油のなかった南部地方では、味噌をお湯で溶き、さらしの布で濾したものを、そばや煮しめなどの調味に使っていました。これを南部地方で「すまし」と言います。この調味料は、江戸の料理本に見える「垂れ味噌」と同じものです。
江戸というと都市でも、銚子の醤油屋ができるまでは、醤油は上方から下ってくるもので、高価なものであったことから、そば屋も「垂れ味噌」を使っていました。このことからも「すまし」が決して田舎の調味料ではないことがわかります。
「すまし」のそば
南部地方では、温かいそばを椀や皿に盛り、昆布・煮干し・人参などで採った出し汁に「すまし」で調味したつゆを、ひたひたになる程度にかけて食べていました。小月・小正月や結婚式などの振る舞いに、何杯でも食べてください、と出すのです。この「椀こ」に盛って提供するので、「椀こそば」と言い、盛岡や花巻の「椀こそば」のルーツだとか。
ここ南郷でも、昔から「すまし」を使ったそばが食べられてきました。しかし時代と共に安価な調味料が普及し、伝統ある「すまし」のそばを食べる習慣が廃れていきました。そんな中、山の楽校では「すましそば」の復活と伝統の継承を目的に、すましそばを提供するそば屋「楽校のそば屋」を立ち上げました。
ひと手間もふた手間もかかる「すまし」ですが、伝統のだし汁と十割の手打ちそばで仕立てた一品を、どうぞお召し上がりください。